合気道重富道場の道場生である大川剛史 氏は、当道場永井綜一師の下で修行した後、日本各地において様々な武術家に師事した結果、独自の理論を確立するに至り、輪進合気塾という会派で合気道の講習会を実施していたが、帰鹿して重富道場に戻ってからは、身につけた技術を惜しげもなく当道場の後輩に伝えているところであります。
縁あって、合気道重富道場と輪進合気塾は繋がりがあることから、以下にご紹介したいと思います。
改めて輪進合気塾とは、大川氏が代表をつとめる会派で、合気会和歌山県支部(故) 高岡貞雄師が提唱していた△○□(さんかく まる しかく)の知覚化(結び)を元に、独自の「剛・柔・流」(ごう じゅう りゅう)の理論を加え、自分の身体・意識について深く観察し、心身の修練につながるよう稽古をしています。
稽古をしているのは、主に合気道と剣術ですが、型をなぞるだけでなく、真に相手に響くよう稽古しています。
頑張っている相手に効かない技では意味がないからです。
技が相手に効かなくなる原因は、全て△○□理論で説明できます。
言い換えると相手に技を効かすには、△○□理論を実践すればよいのです。
合気道の技は実際には効かないのではないか?合気道以外でも自分が学んだ武術や流派で学んだ「技や型」は意味がないのではないか?との疑問がある方も、この理論を学ぶことにより悩みは解決することでしょう。
そのくらい画期的な理論です。
△○□理論に「腕力」は関係ありません。「感覚」ですから女性や体格が劣る人も身につけることができます。
これらは不思議な魔法ではありませんので、確かな感覚として手渡すことが可能です。
感覚を手渡すのが目的ですので、苦行や非効率的な修業はありません。合気道の技で、ひたすら感覚を覚えてもらうのが稽古内容となりますので、体力は必要ないのです。
達人が技を行っている際に感じているであろう内部感覚を、受講者のレベルに落とした状態で再現することが可能なため、それを確実にインプットをすることができ、その内部感覚を知っているからこそ「技」(ワザ)が飛躍的に向上し、「業」(わざ)レベルに発展します。
これで終わりではありません。 まだ入口です。
さらに深い段階として「剛・柔・流」の理論があり、段階に応じた "型" による「お題」が受講者を待っています。
キリがありませんが、楽しみはまだまだ続きます。
本物の武術を極めたい方、護身術程度の習得が目的の方、動機は様々でしょうが、興味が湧きましたら、ぜひ体験してみて下さい。
既に何かの武道をされている方は大変参考になるでしょうし、初めての方も本物の技を体験すれば、この技術に魅了されることでしょう。
付け加えて、輪進合気塾は、既存の流派・会派・技法を否定するものではありません。それぞれが学ばれている流派・武術の特性を生かし、理合を発掘し、上達の術(すべ)を見出すのが目的です。
講習に参加されている方の多くは、主にそれぞれの道場で学ばれ、その流派・武術を極めることに邁進しておられます。
平成11年 鹿児島県で合気道を志す
平成13年 合気会和歌山県支部
高岡貞雄師範に師事
平成14年 万生館合気道重富道場
永井綜一師範に師事
平成23年 タイ捨流 13代宗家
山北竹任師範に師事
その他複数の高名な武術家に師事し伝書を受けています。
出身は鹿児島県。武術の真理を追究することを志し、日本中に良師を求めてその門を叩き、各流派の神髄を経験した後、武術的身体操法の独自の理論を打ち立て現在に至る。
日本各地で輪進合気塾の名で講習会を主催し、その明快な理論で悩める武道修行者に「業」を伝授している。
状態を記号化することで、技の最中での自分の状態が明確にわかります。合気道開祖の植芝盛平翁が提唱していますが、大変難解なため、一般的ではありません。
ですが、これを理解してしまうと便利な事この上ありません。
頭で理解して、体で(内部感覚で)理解すれば、はっきりと原因と対策が立てられます。よって、△○□が分かると上達も分析も思うがままになります。
自分を客観視できる「ものさし」が手に入るという "目からウロコ" 級の理論です。
例えば、技の最中に止まったり、相手に頑張られたりした時は自分の状態が△になっているだけなのです。□の状態で動けば技は止まりませんし、相手はまず止められません。
技を受ける方も、ただ相手の手を持っているだけではなく、常に□を窺います。返し技を狙うのです。
受け側は、あわよくば□を取り返す…だから□の取り合いの攻防になるのです。
輪進合気塾では、これを言葉だけではなく、はっきりとした感覚で相手に分からせることができます。
この感覚を持ちながら、家に帰って独りで同じ動きを真似ると、それだけで稽古になります。
道場は「確認する場」であり、稽古は24時間どこでもできるのです。
やればやるほど差がつきます。(予備校のCMみたいになってきましたね…汗)
おそらく、空手の型や中国武術の套路(とうろ)も同じく、形をなぞってるだけでは意味はなく、師が弟子に内部感覚を教えて、その感覚を持った状態で攻防の動作を繰り返すことで、独習が可能になるシステムになっているのでしょう。
合気道も内部感覚さえ覚えれば、一教(一箇条)などの動きを独りで部屋でできます。
この、内部感覚というのは、一度身に付けたら消えません。
子供の時に自転車の乗り方を覚えた後は、何年経っても乗り方を忘れる事がないと思います。
ですから、一度感覚を覚えると、高める鍛錬はあっても維持する鍛錬は不要になるのです。
輪進合気塾では、攻防の瞬間の状態を説明することができ、それぞれ△と○と□の記号に当てはめることで、現在の瞬間の状態を他人に説明することができますし、自分で理解することもできます。
達人はたいてい□の状態で動いていますが、その□を発生するメカニズムがハッキリしているということです。
人を投げるということは、△を作って○に変えて□にして投げるだけ という単純な作業です。
防御をするということは、△を作って○に変えて□にして防ぐということです。
(慣れると一瞬で□を発生できるので、そうなると単純に□の取り合いになりますが…)
技の名前が変わっても、見た目や手順が違うだけで、本質は同じ事をしているだけです。
この"△"と"○"と"□"の感覚を理解するには、感覚のわかる人から手を握ってもらい、インプットして貰うしかありません。
もし、あなたが どこかで形だけの技を習っていたとしても、△○□理論を加えると、たちまち「使える技」となるはずです。
不自然体
相手と正面からぶつかった状態
相手が自分に興味をもった状態
技が止まるのは、△になっているから
相手を崩す時に使える
一度には1箇所しか発生しない
一般的に「力んだ」状態
相手に依存している状態
△にするには力を足せばよい
ニュートラルの状態
どこにもぶつかっていない状態
自分にも相手にも影響がない状態
相手と無関係の状態
ゼロの状態
○にするには力を差し引けばよい
自然体
相手と一体化した状態
自分が動けば相手も動く状態
技が掛かった状態が□である
一般的に「結ぶ」と言われる状態
□は一度に1個しか発生しない
常識的な力とは違う「力」
□は力の増減は全く無い
輪進合気塾の大きな特徴は、以下にある通り△○□の感覚と剛・柔・流の理論になりますが、理屈だけではなく、それを実際に体現し、感覚を手渡した上でお互いに練ることにあります。
輪進合気塾では、最終的には自然体から繰り出される技を目指しますが、それには、理論立てた過程を経なければならないと考えます。
以下の説明は、大川氏によるものです。
全ての武術の技は、△○□の組み合わせ(三元)で説明できる。
△は相手と対立した状態
○はニュートラルな状態
□は相手と和合した状態
であるが、攻防中に"これら"が複雑に動いて入れ替わり、最終的には、" 相手を制している状態=□の状態 "の取り合いの攻防になるので、チャンスも隙も無限にある。
つまり、実戦技とは「□を取ることが目的」である。
攻防中、□は一つしか存在しないため、相手と□の取り合いになるが、あえて△を起こして□を取り返したり、○を利用して体勢を変えたりすることもできる。
技の分析も、相手の技量の分析も全て△○□の解釈でできる。
もし、「受け」と「取り」が△○□を理解し、知覚化することができていれば、双方とも上達が早くなる。
△○□は、書籍や言葉からは習得できず、実際に手を取らないと渡すことはできないし、受け取ることもできない。
早く上達したいなら、△○□を理解することである。
これらは、他の武道にも応用が効く。
ちなみに、何もしていない状態は、△○□には該当しない。
武術の技法については、剛・柔・流の3種の手段がある。
剛は体術
柔は剣術
流は居合術
に例えられるが、限定はされていない。
(それは、剛の剣術も流の剣術も一応あるからである。)
最初はイメージしやすいように分けてあるが、概念が固定されている訳ではない。一番説明しやすい分類が先に挙げた例えである。
様々な流派の技は、このどれかの組み合わせで解釈でき、その流派が、どの構成で戦いを組み立てるかが
理合(りあい)
となり、それを読み解くことで
その流派が何をしたいのかが分かる
というのが、この分類による利点である。
結局は、一つの技を"剛"でも"柔"でも"流"でも出来るようにならなければならないが、「剛・柔・流」を理解することにより
3種の相互干渉作用により、理解が深まる
自分の技のバリエーションが飛躍的に増える
他人の技が分析できるようになる
という結果になる。
参考まで、圧倒的なパワーとスピードとスタミナを主軸とする格闘技系も強力な戦闘力を持つが、それまでを分類するものではない。
輪進合気塾では、先に説明したとおり「剛」と「柔」と「流」について、技のアプローチを変えて学びます。
それぞれの技法を定義することで、技術についても明確に分けています。
力を抜いて相手を無力化し… と簡単にいけば苦労はしませんが、たいていが強く押さえてくる相手には、こちらも力が入ってしまい、力が拮抗してしまうものです。
これを"何とかしよう"とする際に、「どうやるか」が問題です。
選択肢は多い方がいいですが、相手が力を使ってきてくれているのであれば、剛の技で充分でしょう。
実際は、剛の技だけでも出来れば、殆どのシチュエーションでは事足ります。
しかし、高名な師範が行う技の中には、剛の理論だけでは説明しきれない技法が数多く存在しました。
そうした技を分析していた際、神業すらも分解すると法則があることに気づき、そこから3つの理論が誕生しました。
大川氏は、様々な達人に師事していたことで、この事に気づいたといいます。
ここ3年くらいで輪進合気塾の理合は大きく変わったとのことです。
今では、△○□を作って剛の技でいくか、剣術の応用である柔の技でいくか、一気に流の技でいくか。
飛躍的に選択肢が増えました。
各技法については下に箇条書きにしていますが、これは練っていくしかありません。ただし、理論に「正しく」です。
間違ったアプローチでも努力をして、無駄なモノを削ぎ落としていけば、時間はかかっても「いずれたどり着く」可能性はあります。
時間短縮の方法としては、師を見つけ、最適な道を歩むのが昔から日本人がやってきた事です。
(宮本武蔵などの一部の天才を除いて)
そうして体系づけされた技術は「流派」と呼ばれます。
その流派が何をしようとしているのか…。それを考えるのにこの3つの分類は非常に役立ちます。
様々な流派には型が多数残っています。それぞれの型には意図が必ず散りばめられており、これを読み解くのには「ものさし」があった方がいいと思います。
型の本質を感じ取れれば、その型の存在意義も、流派の特徴も見えてくるでしょう。
そうして学び続ければ、最終的には意識の力が最も有効であることに気づくといいます。
体術を使用
相手が力を使って攻めてきた場合(体力系)
触覚を利用
△○□の状態を活用
相対の距離を変化させる
過去を制御する(既にしっかり持たれた場合)
△○□を知覚することが必須
動力源は、臍下丹田による自然体
剣術を使用
正中線を取ってくる技量を持つ相手の場合(剣術系)
視覚を利用
半身の切替えを活用
相対の中心線の歪みを変える
現在を制御する(互いの中心を取り合う攻防)
剣術を理解することが必須
動力源は、目線の意識
居合術を使用
相手の状態は問わない
聴覚を利用
相対の時間軸が変わる
未来を制御する(相手はついて来れない)
動力源は周囲一点の意識
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
輪進合気塾は、日本各地で講習会を実施しています。
毎週金曜日 現在は休止中。
講習生がいる場合は実施予定です。
合気道重富道場の稽古に併せて実施
伊勢原市立武道館
ほか茅ヶ崎市など
多摩市立武道館
ほか町田市体育館など